地下室付きの中古ビルを住宅にリノベーションして住んでいるRC4taniです。
我々家族は地下室があるからという「遊び心」から、この地下室付きの中古ビルを頑張って購入してリノベーション住んでいます。住み始めてから、はや2年が経過しました。
地下室があることのメリット・デメリットを自分なりに予想してリフォーム・リノベーションを行いましたが、想定内のこともあれば想定外だったこともあります。
地価が高い東京では土地の有効活用の観点から住宅でも地下の利用が進んでいますが、今後は耐震性が高い住宅ということで堅牢な基礎になる地下室のあるRC住宅が欧米のように普及し始めると思います。
本日は地下室付きの住宅を考えられている方に役立つようなブログにしたいと思います。
1.地上階数と地下室の関係
RC4tani家です。リノベーション前の写真ですがご容赦を。
さて見て頂ければ分かりますが当家は4階建てです。
実はこの家、窓が一切ない「全地下」タイプの地下室があります(対義語は「半地下」です)。
1)東京で良く見かける「地下室付き住宅」のフロア構成
東京で多く見かけるドライエリアのある「戸建て住宅」は次のような感じですね。
私の描いたこの絵、意図的に2階建てにしています。
理由は容積率や斜線規制等の関係で住宅地に建つ家は2階建てが多いからです。
良くあるパターンとしては、建ぺい率50%、容積率100%というもの(うーん、高級住宅地ですね)。
敷地の半分に建物を建てることが出来て(建ぺい率50%)、総二階建てに出来ます(これで容積率100%)。
「地階の住宅の容積率の緩和」というものがあり、住宅の延床面積の1/3という上限があるものの、地下室は容積率の計算から除くことが出来ます。
先ほどのような建ぺい率50%、容積率100%の2階建ての場合は、1フロア分だけ地下室を作れることになります。
2)地下室のある当家の間取り
当家は近隣商業地域に建っていますので土地の利用価値が非常に高く、建ぺい率80%、容積率300%と設定されています。
容積率を活かして前オーナー様は地上4階建てのビルを建てられました。そのビルをリノベーションした当家のフロア構成は次の通りです。
4階 | 子供部屋(12帖) |
3階 | 寝室(12帖)、トイレ・洗面所 |
2階 | LDK(17帖) |
1階 | 玄関、トイレ・洗面所・風呂 |
地下室 | 音楽・トレーニングルーム |
(フロアをクリックすると各階のリノベーション前後の写真を見ることが出来ます)
リノベーション前の間取り図は次の通りとなります。
3)リビングダイニングが2階以上にある場合の地下室は距離が遠い
当家のように各階1部屋のような構造になっていて子供が小さいと、家族は家にいる時間の殆どをLDKがある2階で過ごすことになります(これがポイント!)。
家の上り下りを違和感なく移動するのは上下1フロアまで。
2フロアの上り下りは、肉体的には直ぐに慣れますが、精神的にはちょっときついです(笑)。
食事や団らん後に、お風呂に行く(2階→1階)、寝室で寝る(2階→3階)は苦も無く出来ますが、夜に爆音で音楽を聴く(2階→地下)、夜にトレーニングをする(2階→地下)といった楽しいことも、2フロアの移動は「ちょっと」となります。
住んでみて実感した事実です(笑)。
4)地下室付き住宅の理想は「1階LDKの地下室付き2階建て」
これが先ほど述べた「地下1階・地上2階の家」で日当たり重視の2階LDKにすると、LDKから地下室への移動は2フロアの下りとなります。
よって精神的に負担が大きいので私はお薦めしません。
つまり地上2階建ての住宅で地下室を作る場合は是非とも1階LDKにした方が精神的なストレスのない満足度の高い「地下室のある家」になると思います。
2.地下室のメリット
さて当家で生活していて実感している「地下室そのものメリット」をお伝えします。
【地下室のメリット】
- 容積率緩和を受けられ広い住宅に住める
- 天然の「防音室」なので夜間でも大音量で音楽を聞ける
- 飛んだり・跳ねたりも気兼ねなく可能
- 1年間を通じて気温が安定。夏涼しく、冬暖かい。
1)容積率緩和を受けられ広い住宅を建設出来る
先ほど述べた通り、東京のように容積率を超えた延床面積を確保できます。
2)天然の「防音室」なので夜間でも大音量で音楽を聞ける
全地下であれば窓はない上、周囲は土となります。
ドアを防音仕様にしておけば(厚くする、二重ドアが理想)、夜間にバンド活動をしても全く問題ありません。
3)飛んだり・跳ねたりが可能
当家の地下室の床は見た目は木目ですが、コンクリートスラブの上に重歩行用塩ビシートを採用しています。つまり床はコンクリートとほぼ同じ固さがありますので、飛んだり跳ねたりしても全く響くことなく、心おきなくトレーニングを行うことが出来ます。
よって地下室こそ「天井高さ」を高めにしておくことをお薦めします(当家は235㎝とやや低いです・・・)。
4)1年間を通じて気温が安定。夏涼しく、冬暖かい
想像はしていましたが、地下室は気温が安定しています。
当家の場合、地下室の気温は13度~25度程度で年間を通じて安定しています。
夏は外出先から戻ってきたらエアコンが効き始めるまではまず地下室に行きます。
昼間も地下で涼むと気持ちよく読書したりできます。
夏場の湿気にだけ気を付けておけば、様々なものを保管し易いです。
3.地下室のある家のメリット
次に「地下室のある家」に住むメリットです。
【地下室のある家に住むメリット】
- 窓がないため思い切ったデザインの部屋を1部屋作ることが出来る
- 1年間を通じて気温が安定している(夏涼しく、冬暖かい)
- 地下室が堅牢な基礎となるので大地震時も安心
- 心おきなく「物置部屋」を確保できる
- 静かな場所で大人の時間を持てる
1)窓がないため思い切ったデザインの部屋を作ることが出来る
マイホームを構える場合、普通のサラリーマンであれば十分な間取りも確保できないため「実用重視」の部屋割りになります。
結果、住み始めてみると「遊び心」が足りなかったかな?とちょっと残念に思うことがあると思います。
一方、地下室は窓がない地下にある部屋です。
ドライエリアがない限り、常時滞在する部屋にする決断は難しいです(例:地下室を子供部屋にはしない)。
よって地下室は「プラスα」の1部屋となります。
おまけの1部屋と考え割り切ると、思い切ったデザインの部屋を作ることが出来ます。Barのような部屋にしても良いですしワインセラーにも出来ます。
遊び心がある部屋が家に1部屋あると、住宅購入後、暫くして「あー、面白い家になった」と精神的に大きな満足感を得られます。
繰り返します。「遊び心のある家」、これって結構大切です。
2)地下室が堅牢な基礎となるので大地震時も安心
東日本大震災、熊本地震と、大規模な地震が頻繁に発生するようになってきました。
地下室に常時かかる土圧は地震の力よりも大きいため、地下室は非常に堅牢に出来ています。すなわち地下室は非常に頑丈な基礎ということです。
住んでいて頑丈な基礎としての地下室がある安心感は、何ものにも代え難いものがあります。
(138)RC造メリット、デメリット。地震に強い家の基礎構造と地下室の耐震性
3)心おきなく「物置部屋」を確保できる
中古ビルとして、地下に機械室と物置がありました。現在はこの機械室を倉庫として使用しています。建屋内に物置スペースを確保できるというのは非常にありがたいものです。
部屋は物置ではなく、逆に物置は部屋にはなりません。
収納が沢山ある家は良く片付いた住みやすい家になります。
4)静かな場所で大人の時間を持てる
地下室は外の音が聞こえない静かな場所です。
静かな地下室で音楽を聴きながら読書をしてゆったりと過ごすと、心を落ち着かせることが出来ます。
4.地下室のデメリット
【地下室のデメリット】
- 夏場の湿度の管理が面倒
- 暗い場所という精神的なストレスがある
- 地下室付き住宅は建築費が割高になる
- 大地震時にドアが開かなくなると脱出できない
- 洪水時、浸水すると被害が大きい
1)夏場の湿度の管理が面倒
詳しくは過去記事に書いていますが、夏場に地下室内に外気を取り込むと地下室内に激しく結露が生じます。よって夏場の換気扇使用は厳禁。
空気の入れ替えはエアコン(冷房)で行う必要があります。
また、どうしても排気口を通じて地上階の空気が少しは流れ込みますので、夏場だけですが2-3日に1度は除湿器を使って湿度を下げる必要があります。
冬場は地下室内の湿度は45~50%程度で安定しており結露の心配はありません。
(147)地下室の結露防止対策/夏場の換気扇は厳禁、除湿機は必須
2)暗い場所という精神的なストレスがある
どうしても地下へ向かう階段は暗いと自然と足が遠のくことになります。
使わない部屋が出来るともったいないので、当家では1階と地下の間にある照明は非常に明るいライトを採用してあり、且つ、常時オンにしてあります。「地下室=暗くて怖い」という概念を徹底的に払拭しています。
まだ子供達は地下室に行く階段の電気だけは常時点灯していることに気付いていません(笑)。
3)地下室付き住宅は建築費が割高になる
4階建てということもありますが、前オーナーが建築した当家のビルの坪単価は135万円/坪です!
この中古ビルを購入した後、将来の試算のため建て替え費用をパナソニックの方に質問したことがありますが、地下室付き4階建てRC造の再建築費用は最低でも坪100万円すると言われました(ちなみに当家の延べ床面積は52坪あります)
(80)狭小事務所ビルの建設費用と建て替え費用
4)大地震時にドアが開かなくなると脱出できない
当家の地下室は窓の無い全地下です。
地震等で地下室のドアが歪んだりしてドアが開かなくなった場合は、もし中にいるとドアを壊さない限り脱出できなくなります。
5)洪水時、浸水すると被害が大きい
土地柄、可能性は低いのですが洪水等が発生して雨水が地下に流れ込むと、排水したりして部屋を利用できる状態に戻すのは大変な作業となります。
5.終わりに
このブログのテーマは「中古購入&リノベーションで叶えるオンリーワンの個性あるマイホーム」です。
本日は 「地下室のある家」のメリット・デメリット、事前準備と住んでみてはじめて分かったことという話でした。(続く。次のページ『(175)ベランダの無い家の洗濯事情、除湿乾燥機のメリット、デメリット』へ)
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リノベーションブログ著者からのご挨拶/狭小中古ビルを『2割』値引きで購入後、住宅にコンバージョン(リノベーション)して住んでいます