中古ビルをフルリノベーションして都心に住んでいるRC4taniです。事務所ビルの内装を完全にスケルトン状態にした上で住宅(居宅)に用途変更しました。
本日のお話しは巾木(はばき)について。
私を含め家を建てたり、リフォーム・リノベーションをした経験がない方にとっては「なんて読むの?(笑)」、「そんな部材ってあるの」という程度の重要度だと思います。
しかし巾木は壁と床のつなぎ目だけでなく階段にも使われています。
機能面での役割は、汚れたり壊れやすい壁の下部を保護するものですが、部屋の印象をオシャレに魅せることも出来る重要な役割も担っています。
当家は白い壁に明るい色の床材の組み合わせが多いので、白色のプラスティック巾木を殆どの部屋で採用しています。
階段では茶色系のソフト巾木を利用しています。
初めて本ブログを訪問された方のために当方が購入したRC造中古ビルの間取り図と、リノベーション前後の比較写真を1点を再掲させて頂きます。
それでは巾木について説明します。
目次
都心で4LDKを探したところ新築マンションは高過ぎて断念。偶然みつけた地下室付4階建中古ビルをリノベーションして住むことを決断。リフォーム会社7社へコンタクトの結果(見積評価表)、「東京ガスリモデリング」を発注先に決定。中古住宅ローン(リノベーション費用含む)を締結し中古ビルを購入しました。(82)よりリノベーション工事が開始され、3ヵ月目が終わろうとしています。
1.巾木とは
巾木(はばき)とは、壁・床材の接点廻りに取り付ける仕切り材のことです。
巾木の材料は、木、合成樹脂(硬質・ソフト巾木)、石、タイル、モルタルが使われ、床材と壁材を見切る役割をします。
(類義語は『廻り縁』。壁と天井の間を仕切る、木製または軟質ビニル製の見切り材のこと)
2.巾木の種類
巾木の材質には、木、プラスチック、軟質塩ビ(ソフト巾木)、石、タイルなどが採用されます。
床材(仕上げ材)と壁材(仕上げ材)とマッチしたものを選ぶ必要があります。
最近の住宅では、木巾木かソフト巾木(軟質塩ビ)が採用されることが多いようです。
それでは次項目で巾木の具体的な役割を説明します。
3.巾木の用途・役割
1)巾木があれば壁と床材を不連続に出来る
家の構造上、床と壁の連続面に歪(ひずみ)がある場合、壁紙(クロス)やクッションフロアの端に隙間ができたり、『収まり』が悪くなる場合が多々ありますが、これを解決するのが巾木です。
巾木を付けることで、壁と床を不連続にすることが出来て建材の収まりが悪い部分を隠す役割があります。
「綺麗に施工された新築住宅では巾木は不要」と思われる方もいらっしゃるかもしれまんせん。しかし、壁紙を上手に床と張り合わせておいても、地震後にはつなぎ目が目立つことになることが多々あります。
巾木を取り付けておくと「壁」と「床」のつなぎ目が広がった場合でも、目立つことはありません。
上の写真は、当家のリノベーション工事での巾木の施工途中の写真です(地下室)。
床材(コンクリートスラブに直貼り)と壁紙の間の『納まり』を良くすることが出来ます。
2)壁・壁紙の傷や汚れを防ぐ役割
巾木がない場合は、掃除機や椅子の足、靴などが直接、壁に当たることになります。
ひとつひとつは小さな接触も、積み重なってくると大きな傷となり目立ちます。
壁が、柔らかい素材で出来ている場合や壁紙を使用している場合は、住み始めて傷みがすぐに目立ちますので、壁と床材の間には、木製や軟質ビニル製の巾木を貼ると良いです。
3)入隅部分の納まりを良くする
最近の家庭で普通に見かけるフローリング床。
実は木は湿気によって収縮します。そのためフローリング床と壁紙の間(この角のことを”入隅(いりすみ)“といいます)は、わざと数mm単位で間を空けておくのです。その隙間を見えないようにする役割を担うのが巾木(はばき)です。
4)部屋の気密性を高める巾木
巾木は見た目や納まりを解決するため使われますが、実は気密性を高めるためにも使われます。木造住宅では部屋の四隅から入ってくる冷気は無視できない量があります。タンスや食器棚の裏から冷気が流れてくると感じられている方は、気密巾木の使用を検討されると良いと思います(よくこういう製品を考える会社があるものだと感心します(笑))。
4.巾木とエコカラット(タイル)
当家は、地下1階から地上4階建ての延床面積52坪(約170m2)の中古ビルを東京ガスリモデリングに住宅用にフルリノベーションして頂いた物件です。
巾木について、主だった場所の写真を掲載しながら説明させて頂きます。
まずは第一弾として、エコカラット(タイル)とフローリング床における巾木の組み合わせです。
リノベーションを担当された東京ガスリモデリングのご担当者に、エコカラットと玄関フローリング床の境目の「納まり」について質問しました。
回答としては、エコカラットがベージュあり、床材も明るい床材(パナソニック。リアロメープル)なので無難に白が良いとのこと。
もう少し全体が分かる写真を掲載します。まぁ、余り違和感がないことが分かります。「エコカラットとフローリング床と巾木の組み合わせ」をご覧になられて、不安に思うかもしれませんが、一般的に言えることは「巾木は無難にまとめておけば後悔しませんし、来客者の方も、家主ほどには細かく見ません」。
巾木とはそういうものです。
5.白い壁紙と白系のフローリング床材と巾木
こちらは、玄関ホールから洗面所へ繋がる引き戸のところにあるプラスチック巾木です。
上述「4.の写真」を参照して頂ければ巾木を含んだ全体の雰囲気が分かります。
壁紙が白色の場合は、ごくごく無難に白色の巾木(木巾木かプラスチック巾木)を合わせておけば大丈夫です。
6.ウォークインシューズクローゼット内の壁紙と塩ビ床とプラスチック巾木の組み合わせ
当家のウォークインクローゼット内の壁紙は、板模様の壁紙を採用しています。
床材は石模様のビニールタイル床です。
ビニールタイルにした理由は、少々濡れたコートや自転車を保管しても大丈夫なようにという配慮です。
さて、肝心の巾木は、上の写真の通り、こちらもまた白色のプラスチック巾木を合わせています。
そもそも、ウォークインクローゼットの中は他人にお見せするものではありませんので、巾木について特別悩む必要はないと思います。
壁が白系なので、白色の巾木を採用しています。
全体の雰囲気が分かる写真を掲載します。
7.巾木は迷ったらとにかく白! トイレ内の白色壁紙と白色塩ビタイル床と巾木
トイレも無難に白色の壁紙を採用しているのですが、床も白系なので、こちらも迷わず白系の巾木を採用しました。
改めて見てみますとここまで紹介したのは、全て白色の同じ巾木ですね(笑)。
簡単にまとめますと、巾木は迷ったら兎に角、「白」にしておけということですね。
8.巾木(レンガ壁紙と木目調床)
続いて他の場所の巾木写真を掲載します。
こちらは東京ガスリモデリングの建築士の方と少しだけ議論しました。私は「白色って似合わないのではないでしょうか?」とお伝えしましたが、「違和感ありません」とのことでした。
プロがおっしゃるのでそうなんだろうと思い信じて受け入れました。全体の雰囲気は次の写真の通りです。
私的には全くOKです、違和感がありません。レンガ(壁紙です)の目地模様に白色が使われているため違和感はありません。
9.絨毯階段とソフト巾木
当家では、階段だけソフト巾木を採用しています。
階段の踊り場であったり、階段途中、それぞれで巾木のカットの仕方が異なり非常に興味深いところです。巾木の写真を3枚掲載させて頂きます。
1)木目調床と白壁とソフト巾木。直線。
上の写真は地下室の入口の巾木写真です。床材は「サンゲツの重歩行用塩ビマット」をコンクリートスラブの上に直貼りしているものです。壁紙は白色のビニールクロス(壁紙)です。
こうして写真でみてみると、正直、なぜこのような灰色の塩ビ巾木を採用したのだろう?と疑問に思うところはあります(笑)。
特別に目立つ場所でもありませんので、おおらかな気持ちで「まぁ、いいか」と整理しています。
このような気持ちになれるのも、住宅のその他の場所は非常に満足度が高く、リノベーションを担当して下さった東京ガスリモデリング担当者も親切な方だったということもあります(担当者ともめていたら、このような気持ちにはならなかったかもしれません)。
2)階段途中の巾木
階段の方に合わせてソフト巾木をカットしてあります。かなり独特な仕上がりとなっています。
このソフト巾木のカット形については、初めてみた時は「えー」でした。
違和感はかなりありましたが、階段に住んでいるわけではありませんので、今では気になりません。階段掃除はダイソン(掃除機)を使用しますのでビニールクロス(壁紙)の保護は必須です。絨毯階段にご興味のある方は階段関連記事をご参照下さい。
3)階段踊り場の巾木
どういう経緯だったか完全に記憶がありませんが、階段はいわゆる「ソフト巾木」と呼ばれている製品を使用しています。病院や事務所でといった公共の場所で良く利用されています。
一般家庭の階段の9割以上は木製階段を採用されていると思います。絨毯階段の家は非常に少ないと思いますのでご参考になることもあるかもしれません。
階段に関しては今思えば巾木の色は「白」でも良かったのではと少し思いますが、アクセントをつけるためだったのかな?と理解しています。住人としては違和感はありません。敢えてまとめさせて頂くと「巾木は白にした方が無難」といったところでしょうか。
【巾木 人気ランキング】
10.LDK(2階)、寝室(3階)、子供部屋(4階)の巾木
巾木だけでも結構な場所に使われていることが分かりました(笑)、もう少し続けさせて頂きます。続いてはホワイト系のフローリングと巾木です。
特にまとめる必要もないくらい、無難は巾木となっっております。それにしても家中がプラスチック巾木を採用していることに本日写真を撮影しながら改めて気づきました。
11.特殊な壁と床部分の巾木
家中の写真撮影をしていましたついでに、これまで意識していなかった箇所の写真を撮影しましたので紹介させて頂きます。
1)玄関の三和土(たたき)と壁の立ち上がりの巾木
玄関の三和土と壁の立ち上がりやホールとの境目の「納まり」も気になりますよね。
壁側はタイルを少しだけ壁に貼り付けた納まりになっていました。
三和土からホールに繋がる側。正確には「框(かまち)」となります。こちらは以前説明しております通り、R框がそのまま床に鎮座しております。玄関掃除の際は框が傷つかないように注意する必要があります。
2)リビングとキッチンの段差の巾木
当家は事務所床(コンクリート)の上にフローリングを張ったり、キッチン用の配管設置を行っています。キッチン用配管は相応に高さが必要となりましたので、リビングとキッチンの間に段差があります。それが上の写真です。木で納めてあります。
3)階段と玄関ホールの段差の巾木
この写真は階段側からみた玄関ホールの写真です。階段と玄関(三和土)は同じ高さですが、その間にホールを作りましたので、ホールが階段より少し高くなっています。ホールの床材の側面に巾木(框)をあてがう形で納めてあります。
12.おわりに
巾木ひとつにしても改めて家の中を見渡してみると様々な床材と壁の間で利用されていることが分かりました。私はリノベーションの計画を立てている時には巾木の知識は一切ありませんでしたので、特別なこだわりもなく、住宅が完成してしまった感があります。
もしリフォーム、リノベーションを検討中の方がこのぺージに辿りついて写真を拝見して少しでも参考になったと思って頂ければ幸いです。
いつも最後までご一読ありがとうございました。(続く。次のページ『(150)幅760mmの小さな造作洗面所』へ)