「中古ビル」を購入してリノベーションして住んでいるRC4tani(@rc4tani)です。
私の家は各フロア35m2しかない狭小建物ですが、三井住友建設が施工したRC造の地上4階地下1階の建物であり、一応「ビル」と呼べる建物です(笑)。
最近、私のように職住近接を狙って都心(例えば日本橋など)の中古狭小ビルを購入してリノベーションして自宅とする方が増えています。
私と同じサラリーマン素人にとって、中古ビルは金額的に簡単に購入できるものではないので、一生住む覚悟で取り組まれている方も多いと思います。
ところが私のようなサラリーマン素人にとっては、ワクワク出来る「間取りや内装工事」にどうしても目が向きがちです。
しかし、実は長期的に住み続けるために大切なのは内装や間取りではなく、外壁塗装であり外壁維持補修なのです。
折角のRC造の建物でも雨漏りや漏水が発生すると、コンクリート内部の鉄筋が腐食し発錆からコンクリートクラックにつながり、60年間は利用できるとされるRC造躯体が20年もしないでボロボロになることもあります(中国では実際に多く発生しています)。
本日はそのような悲しいことにならないよう、RC造ビルの雨漏りも体験したことがある私が、外壁塗装業者を選ぶコツと注意点について実体験を通じて学んだことをお伝えします。
1.「良い外壁塗装業者」の特徴とは?
まずは、「良い外壁塗装業者」の具体的な特徴を知っておきましょう。外壁塗装の基本的な作業工程も知っておくと、良い業者かどうかをさらに見抜きやすくなります。
1)外壁塗装工事の「基本の工程」を必ず実施してくれる
外壁塗装には絶対に行うべき「基本の工程」が存在します。どんなに価格が高い最新の塗料で塗装しても、基本の工程を怠る手抜き業者の手にかかれば、塗料は本来の効果を発揮できません。
塗装業者によっては見積もりの記載方法が異なりますが、基本的には以下の作業工程が行われると覚えておきましょう。
作業工程 | 行う目的 |
足場の設置 | 外壁や屋根などの高所で安全に作業を行うために、鋼材を組み立てて足場を作る |
養生 | 塗料を敷地外に飛散させないために飛散防止ネットを足場に張る
窓枠や雨樋といった塗装しない箇所に塗料がはみ出さないように、ビニールシートやマスキングテープで覆う |
高圧洗浄 | 塗料を塗装面にムラなく密着させるために、ホコリやカビなどの汚れを洗浄する |
下地調整(素地調整) | 塗装する前に外壁表面のひび割れやサビ、カビを除去し、塗料の内部からの劣化を防ぐ |
塗料の3回塗り(下塗り、中塗り、上塗り) | 下塗り…「下地剤」を塗って、仕上げ用塗料を外壁にしっかり密着させる
中塗り、上塗り…「仕上げ用塗料」を2回塗装し、ムラなく丈夫な塗膜を作る |
このように外壁塗装の工程には全て意味が存在し、一つでも怠れば、施工後わずか数年で塗装が剥がれたり塗膜にひびが入ったりする恐れがあります。
2)外壁塗装の施工実績が多く現場経験も豊富
外壁は、サイディングやタイルといった素材の違いによって劣化の傾向や原因が異なります。沢山の現場を経験したことのある実績の多い業者ほど、素材別の補修方法を適格に見抜いてくれるでしょう。
また、現場の経験だけでなく、塗料や技法に関する最新の知識を持っているかどうかも、塗装の品質に影響するポイントです。
例えば、2010年代頃に登場した「ラジカル塗料」という新しい塗料は、価格が非常に高い「フッ素塗料」よりも少し安い価格で、ほぼ同等の耐久性を発揮します。
1平米あたりの相場価格(※価格はあくまでも目安です)
● ラジカル塗料…約3,800~4,800円
● フッ素塗料…約4,000~5,000円
最新の塗装事情に詳しい業者であれば、機転の利いた無駄のない見積もりを作ってくれるでしょう。
3)現地調査の結果を元に外壁塗装の見積もりを作ってくれる
外壁塗装工事の見積もりは、「現地調査」の結果を元に作られています。
現地調査とは、施工会社のスタッフが工事をする建物を訪れて、外周を歩いたり屋根に登ったりして、建物の様子をチェックする工程のことです。
そもそも工事を行う家を実際に見なければ、補修すべき箇所や劣化の発生原因、作業を行う面積などを知りようがありません。突然訪問してきた業者が、現地調査もせずに見積もりを提出してきた場合は、その家に不必要な工事が含まれている恐れがあると考えた方が良いでしょう。
現地調査を入念に行う業者であれば、無駄のない最低限の費用で外壁塗装工事を行ってくれます。
4)塗装工事後も住まいのアフターケアを任せられる業者と出会う
外壁塗装は施工後も様子を見続けなければなりません。なぜなら、お住まいの立地や環境によって塗料の持ちや劣化の進み具合は変わるからです。
外壁塗装業者を選ぶ時は、施工時の品質の高さだけでなく、施工後も自分たちの作業の結果を定期的に点検してくれるかどうか確認しておく必要があります。
工事保証を発行してくれる業者であれば、施工不良があった箇所を無料で補修してくれるだけでなく、半年後や一年後に定期的にアフター点検を実施してくれます。契約前に、工事保証を発行してくれる業者か必ず確認しておき、保証の内容まで他の業者と比較しましょう。
2.信頼できる外壁塗装業者かどうかを見抜くコツ
どんな業者でも、見積もりを取って打ち合わせを行うまで良い外壁業者かどうかわかりません。業者のペースに流されて不本意な契約を結ばないように、信頼できる外壁塗装業者を見抜くポイントを知っておきましょう。
1)外壁塗装業者は必ず「相見積もり」で選ぶ
一社からもらった見積もりだけでは、金額の妥当性や工事内容の正確さなどを比較することができません。外壁塗装工事では、必ず複数社から相見積もりを取って、内容を比較しましょう。
約3~4社に相見積もりを取る頃には、ご自宅の塗装費用の相場観や必要な補修の種類、外壁塗装の基礎知識なども身に付いてくるはずです。
相見積もりは全業者に同じ条件で依頼する
相見積もりは、すべての業者に同じ条件で依頼することがポイントです。
もし、
● A社…屋根+外壁
● B社…外壁だけ
● C社…屋根だけ
のように、ばらばらの条件で相見積もりを取っても、金額や工事内容が違うので比較することができません。
「他のプランを提示されて気になった」という場合は、他社と同じ条件の見積もりを作ってもらったうえで、別途、他のプランの見積もりを作ってもらいましょう。
2)外壁塗装工事の費用相場を知っておく
外壁塗装工事の相場は、約50~150万円です(個人宅の場合)。
建物の大きさや施工内容によって変動することはありますが、150~200万円を超えるような塗装工事は、よほど傷んだ建物や延床面積が大きな家でもない限り、ほぼ発生しないと考えて良いでしょう。
200万円や300万円の塗装工事の見積もりをもらった時は、高額になった理由を必ず聞き、別の塗装業者の見積もりと比較して費用が適切か判断しなければなりません。
3)自社に職人が在籍している塗装業者がおすすめ
外壁塗装業者を比較する時は、作業を行うのが元請け会社の職人か、下請け会社の職人かも目を通しておきましょう。
まず「元請け」と「下請け」の違いを確認しておきましょう。
元請け | 施主と契約した会社 |
下請け | 施主と契約した会社から、工事を委託された会社 |
元請け業者が下請け業者に工事を委託すると、紹介料として「中間マージン」が工事料金に上乗せされます。
また、下請け業者が現場にたくさん入るほど、誰が何の作業をしたか把握しにくくなり、施工ミスや手抜き工事のトラブルも起きやすくなります。
施工ミスや手抜き工事を防ぐためにも、外壁塗装工事はできるだけ、自社に職人が在籍している「自社施工」の業者を選んだ方が賢明です。
もし下請け業者がご自宅の塗装を行うことになった場合は、元請け会社の「施工監理者」が、現場に来て工事品質をチェックしてくれるかどうか確認しておきましょう。
4)塗装の有資格者が社内に在籍していることもチェック
塗装技術の高さを示す唯一の国家資格に、『塗装技能士』があります。業者のホームページを見る時は、塗装技能士の有資格者が紹介されているか確認してみましょう。
なお、下請け会社の親方が塗装技能士を持っているというだけで「資格を保有している」と表現する業者もまれにいます。この場合、実際に有資格者が塗装を行うので間違いではありませんが、いざ塗装の日になって資格を持っていない職人が来ると、その業者を選んだ意味がなくなってしまいます。
業者の保有資格を確認する時は、先述の「自社施工かどうか」も併せてチェックしておきましょう。
3.外壁塗装業者を選ぶ時に知っておきたい注意点
良い塗装業者の特徴だけでなく、業者選びで避けるべき行動や、信じてはいけないセールストークについても知っておきましょう。
1)訪問販売の外壁塗装業者が来てもその場で契約しないこと
訪問販売系の外壁塗装業者とのトラブルは後を絶ちません。
外壁塗装業者が突然訪問してきた時は、絶対にその場で契約せず、必ず業者の素性を調べましょう。
最低限調べるべき情報
● 代表者の氏名
● 会社の所在地
● 連絡先
● 実際に施工した客の有無
など
もし、業者の良い評判やクチコミが目に留まっても、まだ即決してはなりません。どんなに良さそうな業者でも、必ず他の業者にも相見積もりを取り、金額や工事内容を比較しましょう。
2)最初に提示された見積もりの金額で決定しない
最初に提示される外壁塗装の見積もりは、高い金額で設定されているかもしれません。提示してみて客が無理そうな顔をすれば、引き止めるために値引きをするという業者も少なからず存在します。
最初に提示された見積もりが高いと感じたら、いきなり値引きに進まず見積もりの詳細を説明してもらいましょう。説明の結果、不必要な工事だとわかれば正当な理由で値引きが行えます。
複数者に相見積もりを取ることによって、工事の要・不要を判断しやすくなるでしょう。
3)こんな外壁塗装のサービスを提示されたら要注意
外壁塗装業者は、「足場の防犯ブザー設置」や「工事から1年間は定期点検が無料」などの様々なサービスを用意しています。しかし、中には契約させるために悪質なサービスで騙そうとする業者もいます。
以下のようなサービスを提示された時は、内容を鵜呑みにしてその場で契約しないよう注意が必要です。
「今なら足場代を無料にします」
足場の設置・解体は、外壁塗装工事の中でも金額のウェイトが大きい作業ですので、無料にできるはずがありません。もし足場を無料にしてしまえば、業者は赤字になってしまうでしょう。
足場代が無料でも、足場にかかった経費が「塗装」や「下地調整」といった他の項目に上乗せされていて、結局安くなっていないかもしれません。
「本来なら◯◯万円ですが特別に半額にします」
外壁塗装で行われる値引きは、合計金額のキリをよくするために1~3万円ほど端数を調整したり、5,000円などの少額のサービスを無料にしたりする程度が関の山です。
工事費用を半額にしてくれる業者は、そもそも最初の提示額を相場の倍以上で設定しているだけに過ぎません。本当に半額も値引きすれば、業者は大損をしてしまいます。
悪質な業者になると、半額後の金額でも相場より高いことがあるため、半額サービスにはくれぐれも注意しましょう。
「当社だけのオリジナル塗料なので長持ちします」
リフォーム業者や塗装業者によっては、自社で「オリジナル塗料」を開発している所もあります。しかし、大手塗料メーカーを凌ぐ高品質なオリジナル塗料を製造できる業者は、ほぼいないと考えて良いでしょう。
現在、外壁塗装工事で使われている塗料は、「三大・大手塗料メーカー」と呼ばれる「エスケー化研」「関西ペイント」「日本ペイント」の商品か、『断熱塗料・ガイナ』で有名な「日進産業」や、「アステックペイント」などがほとんどです。
また、外壁塗装は塗料の質以上に、施工の腕や工程監理が施工品質に影響します。従って、オリジナル塗料という理由だけで業者を選ぶメリットはあまりないと言えるでしょう。
場合によっては、粗悪品の塗料に自社のラベルを貼っただけという可能性もあるので、オリジナル塗料というだけで即決しないよう注意しなくてはなりません。
4.外壁塗装リフォーム事例
折角なので外壁塗装のリフォーム事例を紹介致します。
1)外壁塗装(フッ素)、窯業系サイディングのコーキング部分の劣化補修(打ち直し)
大阪府八尾市の築25年の戸建住宅の外壁塗装補修工事です。施主の希望は「窯業系サイディングのシーリング(コーキング)部分の劣化がかなり目立ってきたので打ち替え工事をお願いしたい、現在の外壁のデザインが気に入っているのでそれを生かして塗装して欲しい。」というものです。
西面がコーキングの劣化が特に激しく、ボードに反りがあったので、コーキングの打ち替えに加え、ボードのビス押さえの後、外壁はクリアー塗装(フッ素)を行っています。施工面積は219m2、工期は2週間、費用は115万円です。施工会社はセンターオブユニバース株式会社です。
2)ツートンコーデ塗装例
愛知県豊橋市の築15年の戸建住宅の外壁塗装補修工事です。施主の希望は「色褪せの目立ってきた外壁を綺麗に明るくしたい。質感のある外壁材なので、今の外壁のデザインを活かした塗装を提案して欲しい」というもの。
外壁のALCボードが石肌調とエンボス調の2パターンの表面仕上げだったので、それぞれの特徴を生かすために、石肌調部分にはマット感と高級感が人気の塗料「ペリアート」を吹付工法で塗装。エンボス部分は艶やかな光沢仕上げの「フッ素塗料」で塗装を実施。施工面積は118m2、工期は1ヵ月。費用は112万円です。施工会社は山本瓦工業株式会社です。
私は東京ガスリモデリングに頼んで外壁補修先を手配して頂きましたが、個人やマンション組合の担当者が専門業者を探すとなると大変ですね。
本ブログ内でも過去書いておりますが、全国対応で各種リフォームやリノベーション、外壁工事等の照会・見積もり先探しをする際、最近ではネットで匿名(開示するのは郵便番号とメールのみ)で簡単に候補先業者を最大8社も紹介してもらえるようになっています。上で2例を例示しましたが、「ホームプロ」のホームページでは「外壁」「屋根」の施工価格帯や事例が多く紹介されています。
NTT東日本、NTT西日本、リクルート、大阪ガスの4社が出資するリフォーム会社の紹介サイト「ホームプロ」のホームページで外壁塗装のリフォーム事例検索が簡単に行えます。
①リフォーム事例を選択
②基本条件で「外壁」を選択。金額も予算に応じて制限した方が良いです(私の例では上限100万円)
③詳細条件「塗装」と入力すると2000件以上の外壁塗装リフォーム事例(施工条件、金額、口コミ)が閲覧できます(→私のブログより価値があります 笑)
私、RC4taniが自信を持っておススメ出来る外壁リフォーム事例の探し方です。是非、お試しください。
しっかりお金をかけた住宅は木造でも50年、RCであれば100年は住むことが出来ますが、それも外壁補修を定期的に行ってこそ。一旦、建物内部や鉄筋内部に雨水が浸入すると、家は内側から壊れていきます。長期的な視点に立つと外壁劣化が進む前に外壁補修を行うことで建物寿命が延びて、経済的なことは間違いありません。
⇒「ホームプロ」公式ホームページ
5.おわりに
複数社に相見積もりを取って詳細までチェックしていると、業者選びだけで多くの時間がかかってしまうかもしれません。
しかし、良い塗装業者を選ぶことは、ご自宅の塗装、ひいては外壁や建物全体を長持ちさせることに繋がります。
決して一社で妥協せず、塗装後も将来に渡って家のメンテナンスを任せられる、信頼できる外壁塗装業者を見つけましょう。
本日は『(236)悪徳業者に騙されない! 良い外壁塗装業者を選ぶコツや注意点』というタイトルで書いてみました。最後までお付き合い頂きありがとうございます。